| The world of crazy dust |
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―プロローグ― 電灯が点灯している薄暗い道。 荒んだ建物。 転がる空き缶。 通り過ぎるネズミ。 ここは世界から見放された者が住まう場所。 中毒者、殺人者、犯罪者、狂人・・・・ マトモな人など誰一人として存在しない。 見捨てられた場所。 そこに彼は住んでいる。 古びたマンジョンの一角に事務所を構えている。 彼もまた見捨てられた者の一人である。 当たり前だが、そこに客の姿などなく いるのは彼ただ一人。 机には乱雑に煙草の空き箱、ビールの空き瓶が置いてある。 足を机に乗せ、椅子にもたれかかっている。 壁には名品とも取れる銃器が飾られている。 随分使用していないのか埃を被り色あせている。 だが、一つだけ埃も被らず使用している銃が二丁ある。 そしてその横には昔の栄光か・・・・ 金色に光り輝くバッチらしき物がご丁寧に額縁に入れられ飾られている。 そのバッチには彼の名前と思われる名前が刻まれている。 『ウェノム・クロスガード』 荒れ果てたこの部屋に相応しくない程の光を放ちながら・・・・・ ただそこに飾られている。 第一話 依頼 そんな寂れたこの場所に白いつばの広い帽子を深ぶりして顔を見えなくしている 白いワンピースの女性が一人。この事務所の前に佇んでいる。 意を決したのかさび付いたドアノブに手を掛け一気に開ける。 キョロキョロと辺りを見回す。辺りにはいつのものとも知れない新聞や空き缶が転がっている。 本当に人が住んでいるのか疑わしい雰囲気である。 「誰だ?」 辺りを見回している女性に不意に声を掛けるウェノム。 乾いた声ではあるが、ちゃんと聞き入れば綺麗なテノールの声。 女性は何処にいるのかわからないらしく声の聞こえた方向を中心にまだキョロキョロと見回している。 それに痺れを切らせたのか立ち上がってみせる。 「俺はここだ。」 洗濯していないのだろう。ヨレヨレになり所々に茶色いしみが付いている白いカッターシャツ。 ベルトを締めているのだが乱雑に左のほうの裾が出ている。 黒色のシーパン。これも見事な程にヨレヨレで右足の太ももの部分にはナイフで切り裂かれたような 傷がハッキリと残っている。 「あなたがウェノム・クロスガードさんでいらっしゃいますか?」 麗しいソプラノの声。大人っぽくそしてかつどこか覚悟を決めているような真剣な声。 「そうだ。あんたの名は?」 体制を崩し、左足に体重をかけ左に身体が傾いている。そして右手は腰に回している。 これがチャンとした場所で服装ならばカッコよく決まるのだが、あいにく場所も場所で 服装も服装だし、髪の毛も好き勝手に伸び放題でヒゲもそっていないので台無しである。 「私の名前はシィ・アラフローム。依頼に参りました。」 その言葉に眉間にシワを寄せたウェノム。だが、それは髪に隠れて見えない。 「依頼って?」 再び椅子に座ると机に足を上げる。かなり行儀が悪い。 シィと名乗った女性は帽子を脱ぎ礼をする。思いつめた青い瞳が公になる。 「実は、私の彼氏の事なんです。」 ふんふんと腕を組みながら頷くウェノム。聞くだけ聞いてみようという態度である。 女性はその態度に目もくれず話し始める。 「彼の名前はギコ・リセイブル。職業は刑事です。」 そう言うと写真を鞄から出す。それをめんどくさ気に立ち上がり受け取る。 誠実そうな顔立ちで短くクセ毛っぽく跳ねた黄色の髪、服装は警察の制服の男が写っている。 (刑事・・・面倒な事になりそうだ。) 「それで、依頼の内容は?まさか浮気の調査とかか?」 それだけは簡便してくれの表情と声で言う。シィは軽く首を降るとフルフルと身体を震わせて 「お願いします!ギコ君を・・・・ギコ君を助けてください!!」 と、目に涙を溜めながら叫んだ。それに驚き体制を崩すウェノム。口をパクパクさせている。 そして、自分を落ち着かせるように深く息を吸い込む。そして 「まぁ、落ち着け。それで助けて欲しいってどういう意味だ?」 それを聞いてシィは顔を上げてウェノムを真正面から見る。その瞳には涙が溜まっていた。 シィは自分を落ち着かせるために深呼吸を2、3回してから話し始めた。 「あなたは有名な【魂殺し】と聞いてきました。ギコの魂を助けて下さい。」 ウェノムは唐突に嫌そうな顔をした。何か昔のトラウマでも思い出したように・・・ そして、感情を押し殺すように言った。 「すまん、【魂殺し】の仕事ならお断りだ。俺はもう辞めたんでね。 現役の奴等に頼んでくれ。」 「私はあなたにしてもらいたいんです!」 必死に涙を抑えて言う。しかし、それも虚しくウェノムの返事は冷たかった。 「帰ってくれ。俺はもう【魂殺し】の仕事をする気はない。」 シィはまだ諦めきれない表情を見せてウェノムのグシャグシャとした机に一枚の紙切れを置いた。 「明日、ここで待っています。」 そう言い残すと風のように部屋を出て行った。 「お、おい!」 ウェノムはそう叫んだがもうその言葉はシィには届いてなかった。 虚しく、部屋に響いただけ。 ウェノムはガタンと椅子に倒れこむように座るとその紙をチラリと見る。 「もう、しねぇって決めたんだけどな・・・・なぁ、クラウン。」 そう呟くと、物陰に隠れたウェノムにしか見えないようになっている写真立てに入っている一枚の写真を見る。 そこには二人の男が仲良く肩を組んで笑って写っていた。 そうまだ若い頃のウェノムと親友クラウンとの唯一の写真。 ウェノムは考え込むようにその写真をずっと見つめ続けている。すると唐突に立ち上がり、 背もたれに無造作にかけてあった傷だらけの紅いロングコートを手に持ち、着る。 そしてポケットに突っ込み、クシャクシャになったメモを取り出す。 それから新聞に掻き分け隠れている電話を発掘し、メモを見ながら番号を押す。 「・・・・考えても仕方ない。なぁ、クラウンお前がいたらきっとやれって言うよな。」 と、独り言を呟くとどこかへ電話をかける。 「よう、シルバーブレッドだ。護人と案内人を一人ずつ雇いたい。」 電話から聞こえる声は驚きと歓喜にみちた声を出す。 「シ、シルバーブレッド!?ウェノム様ですか?」 ウェノムはふぅと軽いため息を付く、だるそうな声で答える。 「そうだ。」 「本当ですか!復活なさるのですね。」 向こうの声はとても嬉しそうだ。きっと電話の向こうでは飛び跳ねているに違いない。 床を蹴る音が聞こえてくる。 「復活・・・?まださ。とりあえずウォーミングアップだ。雇えるか?」 復活する気なんざサラサラないのだが、とりあえず雇いやすくするために言う。 向こうはおおはしゃぎだ。それにウェノムは少しあきれる。 「はい。シルバーブレッドの頼みならば・・・・」 「ありがと。一人ずつだ。それと誰にもこの事は言うな。メンバーはそっちで勝手に決めてくれ。」 早くしてくれといった雰囲気である。 「はい、わかりました。場所、時刻は?」 「すまんが、まだ決まっていない。決まり次第連絡する。その時にメンバーを教えてくれ。」 「かしこまりました。」 そう言って電話は切れた。ウェノムは受話器を戻すと深いため息をすると、苦笑いを零した。 それからシィが置いていった紙を手に持ち見る。そして深いため息。 「ハァ、場所はシュサム。嫌な場所だな。」 第二話 シュサム 一応、のばし放題だったヒゲを剃ってマトモな格好にしたウェノム。 シュサムはウェノムが住んでいる【Dust toun】の隣町。とは言ってもこちらはちゃんとした都会で 警備が配備されている都市だ。これは【Dust toun】の住人が不許可で入るのを拒むためである。 つまり【Dust toun】は世間からも見放された町なのである。 ウェノムの場合、特別処置で許可は申請すれば簡単にもらえるので特に困った事はなかった。 「ったく・・・・此処に来るとやたら、視線を感じるぜ。だからイヤなんだよ。」 ブツブツと文句を言いながらも、シィの残した紙を見ながら指定の場所へと移動する。 着いた場所はとあるバー看板に大きく【リシャールバー】とど派手に書かれている。 しばらく紙とその場所を睨めっこしながら佇む・・・ とりあえず、仕事をする気が失せたといった所である。 「・・・・やっぱやめようかな〜?」 そう、呟いた時に後ろから声がかかる。それもまだ若く、聞き覚えのある声。 そして関りたくない声。 「やぁ、シルバーブレッド。どうしたのかな?こんな所で。」 かなり嫌そうな顔で振り向くウェノム。その視線にいた男はとても整った美しい容姿、 そう説明するとすれば、周りの女性が自身を喪失するほどの美しい容姿。 だが、それをウェノムと同様に潰してしまっている服装・・・ どこにでも売っていそうな簡単なワイシャツ、ブカブカなズボンを穿いている。 もう少し紳士的な服装にしたらホストで十分に生きていけるだろう・・・ 「・・・・・それはこっちの台詞だ。大の警視総監様が何している?」 ニコニコと笑いながらウェノムへ近づいてくる男。 「それはでs・・・・」 ここでブカブカなズボンの裾を踏んづけて派手に転ぶ。 ウェノムはあぁやっちまったよといった顔をして厭きれたように苦笑する。 それを見た男は 「転んだ人を笑う人はよくない人なんですよ!!シルバーブレッド!!」 転んでしまってついた砂を払いながらキッとウェノムを見ながら言い放つ男。 「はいはい、悪かったな。警視総監殿。」 小さい子を相手にするかのような小ばかにした態度をとるウェノム。 「ハァ・・・・名前で呼んでくださいよ。」 諦めたかのようにため息を付いて言う。 「なら、俺の事も異名で呼ばないでくれ。ロディン・アロマ。」 「了解、了解。ウェノム・クロスガード。それでどうしたのですか? あなたがここにいるなんて?」 側まで来ると聞くロディン。ウェノムは深いため息を付くとシィからもらった紙を見せる。 ロディンはその紙を見て全てを理解した。 「あぁ、なるほど。ここが待ち合わせ場所なんですね。ご愁傷さまです。」 最後の一言には強烈な嫌味がこもっていた。よほど、苦笑された事に腹が立ったのだろう。 ウェノムはそんな事ちっとも気にしないようである。 「そうだ、聞きたい事があったんだ。刑事にギコ・リセイブルっているだろ? 何か変わったところとかないか?」 ロディンがビックリしたようにウェノムを見る。 「どうしてあなたがギコ君を知っているんですか?確かに最近少し変ですけど・・・ ま、まさか!?」 「そう、そのまさかだ。流石ロディン。理解が早くて助かる。」 ちゃかした言い方だが、ロディンを見る瞳は鋭く。彼の英気の片鱗が見える。 それは、先程までのウェノムではない。昔の魂殺しとして誇りを持っていた頃の瞳だった。 人をゾクリとさせる瞳。実際その瞳に真直ぐ見られているロディンはゾクリと身の毛を逆立ててしまった。 「そこでだ、ロディン。一つ提案があるんだ。」 そんな事には見向きもしない様子で淡々と話を進めるウェノム。 ロディンは先程までの悪寒を振り払い、困惑した表情で聞き返す。 「提案?」 「そう、提案だ。乗るか?」 ロディンはウェノムの瞳をまともにハッキリと自分のアクアブルーの瞳で見透かすと 微笑し、返事を返した。 「面白そうだね。乗ってあげる。久々にゾクゾクしちゃったよ。それで、提案って? 大体は想像できるけど・・・・」 ウェノムも微笑を零すと、 「流石、ロディン。話が分かるな。 ギコの様子を探って欲しい。それで何か情報を掴んだら俺に聞かせてくれ。」 ロディンはふぅと軽いため息を付くと、微笑んで見せて返事を返した。 「まぁ、いいよ。ウェノムがやる気のようだしね。仕方ないから協力してあげるよ。 それと、いいのかい?待ち合わせ時間。」 自分の腕時計をウェノムに見せ付けて言う。顔はどこかニヤ付いている。 ウェノムはしばらく考え込んでそして顔からサーッと血の気を失せていく。 「ヤバッ、しかしこの中に入るのは・・・・・」 悩むウェノムの右肩をポンッと叩くとロディンは囁くように言った。 「頑張れ。それじゃぁバイバイ。」 手を振って一目散に逃走した。それを唖然としながら見送ったウェノムは数分間唸ってから 諦めたかのように中へ入った。 目の前に広がるバー。その片隅にシィはいた。 第三話 リシャールバー 見た目の派手さとは打って変わって、中は静かな普通のバーではあるが、どこか違う雰囲気がある。 が、そんなものにいちいち反応を示すような元気はウェノムにはない。 逆に慣れているような感じで簡単に馴染んでいる。 (この雰囲気、どこか懐かしいと思ったらアソコと似てるんだ・・・・。たくっ、面倒な事になりそうだぜ。) どこか思い出に浸りながらもシィの横に座る。シィは一瞬ヒヤリとした表情を見せたが、 ウェノムの顔を確認するとホッとしたかのように胸を撫で下ろした。 「やっぱり来てくれた。良かった。」 心から安心したように言う。ウェノムはそれを聞き、苦笑いを浮かべる。 「マスター、キツイのくれないか?」 バーのマスターに注文をとる。座ったかぎり何か頼まないといけない雰囲気がここにある。 マスターは軽く頷くと棚からビンを下ろす。そして、綺麗に磨き上げられたグラスに注ぐ。 炭酸の泡が静かに上がり、ウェノムの前に出る。ウェノムは軽く口の中に入れる。 舌に炭酸が沁みる・・・・予想していたのとは違い、そこまでキツくない。逆に弱いくらいだ。 キャラ紹介 名前:ウェノム・クロスガード 性別:男 年齢:27歳 職業:魂殺し 性格:面倒くさがりで低血圧。しかし人情には厚く、仲間想い。 口癖:『たくっ、面倒な事なってきたな。』 武器:二丁の拳銃(アルフとセフル) 特徴:全体にはイケメンの部類に入る顔。天然パーマの銀髪。 白いカッターシャツ、右太ももにナイフで切られた後がある黒いジーパン。 ヨレヨレになった傷だらけの紅いコート。 名前:シィ・アラフローム 性別:女 年齢:21歳 職業:一般市民 性格:穏やかで優しく涙もろい。 口癖:『きっとあなたにも大切な人が出来るよ。』 武器:日用品ほぼ全て 特徴:白いワンピースに桃色のカーディガンを羽織っている。 色白で水色よりも薄い青の髪。 名前:ギコ・リセイブル 性別:男 年齢:21歳 職業:警察 階級:刑事 性格:熱血漢で馬鹿正直。一度決めた事は遣り通す信念を持っている。 口癖:『一度決めた事は遣り通す、それが俺の信念だ!』 武器:身長も超える巨大な大剣(ロードナイト) 特徴:誠実な顔立ちで短くクセ毛っぽく跳ねた黄色の髪、警察の制服を常時着用。 名前:クラウン・ヴェルサム 性別:男 年齢:享年22歳 職業:魂狩 性格:使命を真っ当する融通の利かない頑固者。魂狩としては優しすぎたために命を落とした。 ウェノムの親友。 口癖:不明 武器:拳銃セフル、破邪抜刀(後にセフルはウェノムの武器になる。 特徴:全体的には短い黒髪。所々にメッシュの聞いた紅い髪がある。 蝙蝠の羽を模した黒いロングコート。ウェノム同様イケメンに入る顔。 名前:ロディン・アロマ 性別:男 年齢:15歳 職業:警察 階級:警視総監 性格:穏やかだが、異常なほど頭の回転が速い。よく転ぶ。 口癖:「転んだ人を笑う人はよくない人なんですよ!」 「僕と知恵比べするなんていい度胸です」 武器:自分よりも大きな槍を二本。 (右はブリューナク。 左はグングニルと言う名前をつけている) 特徴:周りの女性が自信を無くしてしまうほどの美しい容姿を持つ。 簡単なワイシャツとブカブカのズボンを穿いているが、 容姿のせいか、あまりにも似合っていない。 |
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